2016/04/16
3月半ばに一宮西高校ラグビー部のトレーニング講習を行いました。
テーマとしては、ウェイトトレーニングの基礎として股関節(尻・ハム)を使えるようにすること及び適切なスクワットフォームの習得を目標に行いました。
また実技だけでなくウェイトトレーニングの基本的な知識と、トレーニングを行うに当たって重要なことについて講義しました。
尾張地区の進学校は非常に厳しく、授業に0限や7限があるだけでなく自宅学習のための課題も毎日大量に出るということで練習時間はかなり限られています。そういうこともあって競技力的にはまだまだこれからといったチームです。
しかしラグビーは非常に激しいコンタクトプレーを伴うハードなコリジョンスポーツ。フィジカルの重要性は言うまでもなく、軽んずれば怪我も増えてしまいます。
なので時間が限られているからこそ、その中で最大の効果を得るための効率の良いトレーニングを行う必要があること。そして効果的で効率的なトレーニ ングとは科学によって裏打ちされた物であること。それらを目的意識を持って集中して正確なフォームで行う必要があること、などを説明しました。
根拠のない不確かなトレーニングでは期待したようなリターンを得られる可能性は低い。確実な効果を得る為に必要なのが科学的知見に基づいたトレーニングです。
そしてトレーニング中最も重要なことは正確なフォームでトレーニングを行うことです。どんな優れたトレーニングプログラムも個々のメニューを正確なフォームで遂行すること無しには目的を達成することが出来ません。
またウェイトトレーニングによる傷害発生の予防とは、ただ、筋力が上がったから・筋肉がついたから、耐久力が上がった、というものではありません。関節への余計な負荷をかけない「姿勢」「動き方」「力の発揮し方」を身に付けるということも重要な部分です。
ということで正確なトレーニングフォームを習得するための実技に移りました。
実技ではウォーミングアップの体操をした後、まずはグルトブリッジやプランクでお尻の基本的な締め方と姿勢のとり方を学び、背中のトレーニングとして斜め懸垂と懸垂を挟んでから、立位での下半身のトレーニングの仕方へと進んでいきました。
立位では、立ち方・重心の置き方から入り、しっかり踵重心を保ったうえでリバースランジ・RDLなどを行うことで、尻ハムのストレッチ感覚と収縮感覚を掴みながら、トレーニング動作の中でお尻を使うことを覚えていきました。
各種目の合間合間にスクワットフォームの変化の確認を行いつつではありましたが、2時間余りの実技講習で実際にバーを持ってスクワットを行ったのは 最後の15分程度でした。それでも確実に、多くの選手が股関節を使ったフォームでのスクワットを行えるようになっていきました。
ただ講習の中の変化はそれだけで定着するものではありませんし、現状では柔軟性が足りずまだ充分な深さまでしゃがむことのできない選手が大半です。 柔軟性を向上させてしっかりしたフォームを定着させ、さらに身に付けたものを競技で活かすためには彼ら自身で継続していく必要があります。
しっかり理屈を説明しつつ、変化を体感できるようにしながら進めましたが、実は何より一番大事なのは「やる気」で「ハート」で「気持ち」です。
「やる気」をもって実際にやらんことにはどんな理屈も科学もなにも意味を持ちません。講義の部分でも最後はそれで〆ました。
2015年ワールドカップ以降ラグビーは盛り上がってきています、新入生も今までより多く入ることでしょう。今はまだ監督にお尻を叩かれながらでしょうが、彼らも気持ちを盛り上げて、自主性を持って本気で取り組むようになるよう、奮起すること期待します。
※関連記事
「ラグビーとハムストリングの柔軟性 その1」
「ラグビーとハムストリングの柔軟性 その2」