2018/06/01
こんにちは、名古屋市瑞穂区のS&Cコーチ、パーソナルトレーナー田島雅彦です。
ベントオーバーロー(BOR)は広背筋をメインターゲットとした背中の主要種目です。
高重量を扱える一方、非常に多くの人が腰に痛みを感じながらBORを行っていると思われます、では腰に悪いのか、いいえ悪くありません、痛むのであればそれはフォームが悪いんです。フォームの何が悪いのか、いきなり結論ですがハムストリングの張力が抜けているので腰に負担が来ます。
・ハムストリングの力が上体を支える
ハムストリングは股関節の伸展機能を持っています。これは立位で足が固定されている状態なら、股関節を軸に、前傾した上体(胴体)を起こす(立てる)方向への力を発揮するということです。
つまりハムストリングはベントオーバー(前傾)姿勢で、上半身自体の重量と手に持ったウェイトの重量で、倒れようとする上体を拮抗的に後ろから引っ張って支えているのです。
なのでこの力が抜けてしまうと腰の力だけで上体を支えることになり、腰に過大な負担がかかります。腰が丸まっているのはそもそも論外ですが、腰はアーチを維持していても、ハムストリングの力が抜けていればやっぱり腰は痛むのです。
足の位置が固定された状態の股関節の屈曲と伸展
・よくあるフォームでは
一般によく行われている、パワーポジションの姿勢に近い、浅い前傾角度で行われるBORでは、多くの方は「腰・背中を丸めない」ということは意識していても、下半身に対する意識は低いです。
体を深く倒すと腰を痛めやすいなどとよく言われますが、上体の前傾の深さに関わらず、膝が曲がって前へ出てしまえば(へっぴり腰)、ハムストリングは弛緩して張力は失われます。
また腰を引いていても、つま先荷重になって重心が前へつんのめっていれば(非常に多い)、上体を下に引っ張る力はさらに大きくなり、結局いくら前傾を浅くしても、腰に対する負担を逃せていないでしょう。
他の問題点としても、上体の前傾角度が浅ければその分可動域が短くなってしまいます。
(広背筋の肥大だけを狙うなら間違ってはいないですが、トレーニングは安全な範囲で最大限大きな可動域で行うことで効果的効率的かつ機能的に筋力を高めることができます、可動域が小さいうえに体を痛めるのは最低!)
・腰に負担のかからないフォームとは
簡単に言うとほぼルーマニアンデッドリフト(RDL)のボトムの姿勢から引くという形になります。
スタンスは狭く腰幅程度。胸は張って、骨盤の前傾を保ったままハムストリングのストレッチ感を感じながら、腰・背中が丸まってこない範囲で最大限深く前傾します。膝は軽く曲がる程度、脛は床からほぼ垂直で、膝が絶対に前に出ない。重心は常に踵。膝が前へ出てしまえばハムストリングは弛み、張力が失われます。
その状態で(ほぼ)静止して行います。前傾が深い方が可動域が大きくなりますが、上体が水平になるということにこだわる必要はありません。
キーポイントは骨盤の前傾を維持することと、ハムストリングのストレッチ感覚を絶対に抜かないことです。
(トップ画像くらいだと一見よさそうに見えますが、膝が前に出てハムストリングのテンションが抜けているダメなフォームです。腰を痛めます。)
ハムストリングは、骨盤の前傾を維持すれば身体を支えてくれる一方、柔軟性が足りないと深く上体を前傾した時に骨盤を後傾させて(腰を丸めさせて)しまい、そうなれば腰に負担がかかります。
そしてまた柔軟性が高いだけでは自重+ウェイトという大きな負荷に耐えることが出来ないでしょう。
というわけで、腰を痛めずにBORを行うにはハムストリングの柔軟性と筋力が非常に重要になります。ターゲット筋群としては上半身の種目ですが、下半身のトレーニングを疎かにしていては安全に行うことが出来ない種目なのです。
正しく行えばBORが腰に悪いということはありません。上体を深く倒した方が腰を痛めやすいというのも誤りです。そしてBORは背中全体を鍛える非常に重要な種目です。
ただBORを健康的に行うにはためには、まずRDLをしっかり身に付ける必要があると言えるでしょう。
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